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Design Tourism

2025.07.14

デザインツーリズム@熊本 Epi.3 最旬スポットを訪れる

デザインツーリズム~熊本編~第3回は、お勧め「最旬スポット」を紹介する。

まずは、⽥園⾵景に溶け込んだ⼤きな⽔庭がある「喫茶 ⽵の熊」。

次に、構造の美しさを活かした⽊の建築で地域のシンボルとなっている「神⽔公衆浴場」。
続いて、アートポリスに参加して実現した⽊材加⼯場「エバーフィールド」。
そして、熊本でいただいた、オススメグルメをご紹介する。

竹の熊

所在地:熊本県阿蘇郡南⼩国町⾚⾺場
竣工:2023年5⽉
設計:下川徹

熊本県南⼩国町の阿蘇北外輪⼭の麓に位置し、深い緑に 抱かれ阿蘇の⽔源から湧き出た清らかな⽔が⼈々の暮ら しを⽀えている。⽥園⾵景と溶け合うような「喫茶⽵の 熊」の敷地内には⽬の前に広がる⽥園と繋がった⼤きな ⽔庭がある。 店舗を構成する⽊材は江⼾時代よりこの地で育てられて きた⼩国杉をふんだん使い、⽇本の伝統的な⼯法や素材 を活かしながら職⼈さん、オーナーの⽳井さん、地元の ⽅々の⼿仕事でつくられている。⾥⼭の情景と美しい建 築が融和する独創的な空間は能舞台のような作りになっ ており特等席の板の間には、⼭から切り出すところから 熟練の技を必要とする⼩国杉の磨き丸太を設え、それを 栗の⽊の梁が⽀えてる。また⽔庭は美しい⽵林と調和の とれた景観で、⾥⼭を流れる井⼿の⽔が庭園に流れ込み、 造園⼠のこだわりで常に循環し続けている。 喫茶内の家具や器や⽵籠などオリジナル商品で構成され、 電気設備はあえて⼊れず⾃然光をふんだんに取り⼊れる ことで、季節や時間によって様々な表情をみせる。(中谷)

 







 

神⽔公衆浴場

所在地:熊本県熊本市中央区神⽔2丁⽬2−18
竣工:2020年8⽉
設計:⻄村浩(㈱ワークヴィジョンズ代表取締役)
⽵味佑⼈(⽵味佑⼈建築設計室代表/㈱ワークヴィジョンズパートナー)
⿊岩裕樹(⿊岩構造設計事ム所)

⽊造2階建の公衆浴場併⽤住宅の計画。 2016年の熊本地震で⾃⾝も被災した構造設計者が、震 災でお⾵呂に困っている近隣の⽅々の姿を⽬にし、⾃ 宅の再建にあたって地域に開放したお⾵呂を併設する ことを決意したところから始まる。 1階が地域の⽅も使えるお⾵呂、2階が4⼈のお⼦様 も暮らす住宅、というシンプルな構成で、構造の美し さを活かした⽊の建築は地域のシンボルとなり、災害 時には地域を⽀援する住宅にもなります。 構造設計に対するこだわりは熊本地震を配慮し、2回 の地震に対して建物が倒壊しないように設計。 損傷はするが、2回⽬の地震から銭湯の天井にある メッシュ状の梁が効いてきます。 また厚い⽊質の板を積層させたCLT部材を、⾦物なしで ⽊材同⼠を噛ませ継いでいるアーチの屋根も珍しく、 国内では初めての試みです。(⼤⻄)

 






エバーフィールド⽊材加⼯場

所在地:熊本県上益城郡甲佐町⼤字府領892
竣工:2021年12⽉〜2023年10⽉
設計:建築 ⼩川次郎/アトリエ・シムサ+⼩林靖/kittan studio+池⽥聖太/3916
構造 ⼭⽥憲明構造設計事務所

熊本市の建設会社、エバーフィールドがくまもと アートポリスに参加して実現した⽊材加⼯場である。 ⼩中断⾯の県産流通材のみにより構成された⽊造⼤ 架構建築。ここでは⼩中断⾯で材⻑4m以下の製材が 互いにもたれかかるように⽀えあう〈⽊造レシプロ カル構造〉により、無柱⼤空間が成⽴している。こ の建築における〈⽊造レシプロカル構造〉とは、主 に4⼨⾓(120mm⾓)とその半割の部材からなる3 ⾓形のユニットを単位として、これらが互いに〈⽀ えるー⽀えられる〉という関係を繰り返すことで、 建物全体が構造的に安定する仕組みである。⼀般に、 〈⽊造レシプロカル構造〉は屋根架構に限定して⽤ いられることが多いが、この建築では屋根、壁を含 むすべての構造的部位が同システムで構成されてい る点に特徴がある。ドーム状の⼤屋根と壁が接合さ れたダイナミックな空間に圧倒される。(⽊村)

 



Japanese Cuisine 菜な 熊本店

所在地:熊本県熊本市中央区新市街2番8号新市街パーキングビル1F
開店:2007年
設計:株式会社SIGNコーポレーション

サクラマチクマモト(バスターミナル)にほど 近い新市街に位置する便利な⽴地。2名から40名 までに対応する掘りごたつ式の個室が⽤意され ており、⽤途を選ばずに利⽤しやすい。和のテ イストで落ち着いた空間づくりがなされている。 メニューは和⾷で、熊本の郷⼟料理のほか、⾖ 腐などを使った京料理、寿司、デザートなど7 0〜80種類あり、ドリンクはアルコールやソ フトドリンクを約60種類取り扱う。郷⼟料理を 中⼼とした全8品(⾺刺し・⾟⼦蓮根・ぐるぐ る・⽕の本豚・だご汁ほか)は、充実した内容 で旅⼈には嬉しい。ぐるぐるとは、⼀⽂字(ひ ともじ。わけぎの別称)をさっと茹でて冷まし、 ⽩根を軸に⻘い葉の部分をぐるぐると巻きつけ たもの。シンプルながらザクッとした⾷感で独 特の⾹りと⽢みを楽しめる。酢味噌でいただく 熊本全域の郷⼟料理。(栗⽥)

参考
郷⼟料理【阿蘇】
【⾺刺し・⾟⼦蓮根・ぐるぐる・⽕の本豚・だご汁】全8品
[飲放]7000円(税込)
【前菜】郷⼟2点盛り(⾟⼦蓮根・⼀⽂字)
【刺⾝】⾺刺し盛合わせ
【⿂料理】本⽇の焼き物
【揚物】⼀品料理
【⾁料理】熊本県産⽕の本豚の陶板焼き
【吸物】だご汁
【御飯】阿蘇⾼菜ごはん
【⽢味】当⽉のデザート

 




日本空間デザイン賞の受賞作品をメインに廻った今回のデザインツーリズム。
熊本には雄大な阿蘇の自然があり、1988年から始まった熊本アートポリス事業は、
人々に環境デザインに対する関心を高めることに大いに寄与していることを知った。
デザインツーリズムに参加するメンバーはとても個性的だ!
それぞれが独自の視点を持っている。
さまざまな都市や町を訪れる際、建築・デザインを見て触れることは
その旅自体の価値を大きく変える。
さらに参加メンバーと交わされる会話や議論で新たな知見が加わる。
そう…「どこへ行くか?」よりも「だれと行くか?」で旅が大きく変わるのである!
だから、行こう。デザインツーリズムへ。(水谷)