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Design Tourism

2024.02.27

デザインツーリズム@広島 中編

世界遺産 厳島神社→広島市環境局 中工場→広島平和資料館→世界遺産 原爆ドーム→おりづるタワー

視察旅行2日目はいよいよ広島市内。

世界遺産となっている歴史的建築物を訪れるとともに現代建築の傑作やKUKAN OF THE YEARを受賞した作品を設計者の解説付きで見学するというデザイン・ツーリズムでなくてはできない旅体験をしてきました。

世界遺産 厳島神社

設計:佐伯鞍職、修復:増岡組

左:連絡船に乗り宮島へ。情緒があるシークエンスいいですね。 右:やはり日本建築は陰影ですね。(渡部嵩洋)

 

朱がまぶしい改修後の本殿(澤山)

 

運よく干潮だったので鳥居の近くまで。高層ビルは見慣れているにもかかわらず、圧倒される存在感でした。(渡部嵩洋)

 

左:横からアプローチするとよりダイナミックな表情が見える。鳥居の柱はぜんぜんまっすぐではないのだ。 中:16メートルの鳥居は見上げると大迫力。修復の跡が見えますね。 左:足元の表情にも魅了されましたよ。根の形状そのまま。靴を履いているようでちょっとかわいい。
(澤山)

 

圧倒的存在感のそばに、こぢんまりとした癒しあり。(渡部嵩洋)

 

明治8年に再建された大鳥居。70年前の修復以来の令和の大改修は、令和4年に3年半をかけて完成した。檜皮葺の屋根葺き替え、耐震補強、内部の白アリ被害による空洞化を埋木により修復し、朱色の塗装が施された雄姿はまばゆいほどだ。

ラッキーにも引き潮で接近できたおかげで、正面遠方からでは見えない木の湾曲したダイナミックな表情や修復の痕跡をつぶさに観察できた。(澤山)

 

広島市環境局 中工場

建築設計:谷口吉生

2階見学通路、平和公園から延びるラインに合わせている(笠原)

 

左:ガラスの通路、エコリウム。驚くほど洗練された空間。 右:エコリウムからガラス越しに稼働中の焼却炉が見える。(笠原)

 

清掃車の展示、まるで現代アートを見ているかのよう(笠原)

 

 

「恩師と父、二人の偉大な建築家を感じる建築」
美術館などに代表作の多い谷口吉生、工場建築というと少し意外性があるところだが…、ゴミ焼却施設であるとともに、谷口の恩師 丹下健三による平和記念公園から続く都市軸を受け止めるゲート機能を持つことで、この建築が重要な意味をもつものと考えられる。さらには、クリーンな工場内部のありのままを見せ広く市民に開放されていることは、敷地内に芝生をつくり花壇には四季の花々を咲かせる庭園計画を行うことでセメント工場から“灰の町”の汚名を取り払った「秩父セメント第二工場」(1956年)の設計に携わった、父 谷口吉郎へのオマージュのようなものを感じる。(春日)

 

 

ゴミ焼却炉を最新の技術と美しい建築で未来的な施設に昇華させた、見学する清掃工場である。中央を貫通するガラスの「エコリウム」を歩くとシルバーの配管や、焼却炉が稼働する姿を見せてくれる。さらに突き進むと目の前に河口が見えてくる。ゴミ焼却炉という迷惑がられる施設を「ゴミ焼却炉を展示している美術館」に変換している。見惚れてしまうほどの意識変換、それができる空間デザインのちからはすごい。「デザインのちから」をストレートに実感させてくれる建築だった。(笠原)

 

広島平和資料館

建築設計:丹下健三
展示設計:丹青社 田中利岳

終戦から10年も経たずに建てられた資料館。今だからこそ納得のスケール感だが、当時は焼け野原の中での全体計画にこの先見性、本当にすごい。(渡部ひとみ)

 

印象的な柱に支えられたピロティは、休日には入場待ちの人々が連なっていた。(渡部ひとみ)

 

事実の検証を積み重ね、表現したと伺った。ありのままを大切にし、まっすぐ受け止めてもらえるよう配慮されたデザインだからこそ、「ふつうの人」「ふつうの暮らし」の重さが伝わってくる。(渡部ひとみ)

 

原爆投下前と後の対比。被爆の実相。被爆者との対面。物が語る・・・生と平和への切なる願い。展示設計した丹青社 田中利岳氏と巡り、丁寧に練られた編集や、展示細部について伺えました。(津山)

 

展望エリアから見える「平和の軸線」。見ていると、いろいろな気づきを与えてくれる。遺構と人々の気持ちが同期してシンボルとなって行くには時間を要したはず。意志を貫く強さを感じる。(渡部ひとみ)

 

軍用の航空機が飛んで行った。広島はかつて軍都であったことを思い起す。今でも周囲には軍需産業や米軍の基地がある。このような資料が地球上で新たに作られることの無いように願い、行動したい。(渡部ひとみ)

 

世界遺産 原爆ドーム

建築設計:ヤン・レツル
修復:清水建設

原爆ドームは、真上で原爆が炸裂し、横からの爆風を受けることが無かったため、奇跡的に原型をとどめた歴史遺構である。しかしその痛みは激しく、今まで4度の保存工事、直近では2015年の主に耐震補強工事が行われてきた。平和記念公園の南北軸線上にあり、そのラインからの画角が一般的だが、ぐるりと様々な角度から見ると、新たな表情が見えてくる。(澤山)

左:南北の軸線上に原爆ドームがあることがわかる 右:太田川対岸から、新たなおりづるタワーを背景とした画角(澤山)

 

左:確かに、水平方向のエレメントは消滅し、垂直方法のエレメントだけが残ることが分かる。また、石、鉄骨、プラスター、レンガ、それぞれのあの状況下での強度が垣間見える。 右:この角度が本来の建築のファサードだ。ネオバロック様式にセセッションのディテイルをちりばめたような、均整の取れた美しい建築だったことが分かる。この角度から見てほしかっただろうに、景観を邪魔する、この中途半端な位置の街路灯が残念。(澤山)

 

先ほどまでのアプローチは観光客のものだが、本来広島の大通りにほど近い、こちら側からが市民のアプローチだ。通勤通学途中の市民の数多くが、この夕暮れの景色に足を止めていた。平和が不確実な今こそ、私たち戦争を知らない世代は、この景色を間近で確認することに大きな意味があると感じた。(澤山)

 

 

戦争が終わって79年、今では原爆ドームと呼ばれていますがこの建物は「広島県物産陳列館」として沢山の方が働いていました。朝、8:15にいつもと同じように出勤し町は一日の始まりで慌ただしく動いている最中に原爆が投下され広島の街は壊滅状態になりました。その恐ろしさがこの原爆ドームを見ると伝わります。戦後79年、戦争を忘れてはならない、原爆の恐ろしさを伝えなければならないために、残された原爆ドームは老朽化が進み沢山の鉄骨で補強されています。
この平和公園に来るといつも日本の歴史や平和について考えさせられます。これから先も原爆ドームを残し後世に伝え続けてほしいと思い、老朽化で解体とかの日が来ないことをただ祈るだけです。(藤坂)

 

おりづるタワー

建築設計:三分一博志

左:おりづるタワーとわかりやすい外観デザイン。外壁に折り鶴が重なっていく様子が見える。 右:1階のカフェも折り鶴が飛ぶ開放的な空間。(大森)

 

最上階「ひろしまの丘」で思わず深呼吸。街並みの今を通じて、平和への願いや重みを感じる。(大森)

 

展望台は木の温もりや開放感を感じられる。(大森)

 

左:みんなの想いを繋ぐ「おりづるの壁」。折ったおりづるを投入、折り方もレクチャーしてくれる。 右:館内の壁面には広島ゆかりのアーティストが描いたアート。(大森)

 

 

22名の旅人たち

今回のデザインツーリズも個性ある楽しいメンバーが集合!始まる前からワクワク感が溢れてます!(上野)

 

真剣に解説を聞くメンバー。 記事や資料では聞けないリアルな解説が腑に落ちます。(上野)

 

左:旅の楽しみの一つはやっぱり食事。庭内にひっそりと佇む「五観堂」でいただくのは精進料理の神勝寺うどん。食べる前から上がります!
中:神勝寺うどんを食べる「雲水箸」。修行僧が使うもので、長く手で持つ部分が非常に太くできています。 食事をいただく前に必ずお経を読むそうですが、お経を読むときの合図の柝(拍子木)がない場合に使うんだとか。
右:食器は「持鉢(じはつ)」と呼ばれる三枚組の器を使って頂きます。 器の大きいものを左から順に並べ、一番目の器はうどん出汁、二番目の器はおかず、三番目の器で沢庵を入れるですが、貴重な水をなるべく使わず器を清潔に保つ工夫なんですね。(上野)

 

場のパワーを共に感じて、違う視点の気づきが、それぞれのデザイナーの中に生まれた。
(津山)

 

リボンチャペル屋上から瀬戸内海をバックにパシャリ!ん?あれ?同じ人が二人いる?(上野)

 

左:さて、尾道!海と山の距離が短いので、とにかく坂坂坂! 右:うーむ、この奥行感。 デザイナーは机に向かってばっかりじゃダメ。(上野)

 

JR山陽本線の線路をくぐって目的地へ。鉄ヲタにとってはたまらない光景。残念ながら115系は見られませんでした。(上野)

 

ウワサのLOG。LOGの小林さんの解説に真剣に耳を傾けるメンバー。(上野)

 

左:小林さんの解説も楽しげなんですが、その口調にイキイキ働いてらっしゃる感じが伝わってきます。 右:LOGの資料室ではスタジオムンバイのプレゼンテーションブックが閲覧できます!メチャクチャ貴重な体験!(上野)

 

左:「ONOMICHI U2」でやっとディナータイム! 右:デザインでお腹いっぱい。そこから至福の一杯。(上野)

 

小林さんコーディネートのボリューミーな海鮮プレート。女子会テーブルもペロリ!(上野)

 

朝食はちょい硬めのパンケーキ。感度高いです。(上野)

 

建築の作る日差しにの入り方にも配慮したデザイン。陰影のうつろいが美しい。小津安二郎の世界観をリスペクトしてるのだとか。(上野)

 

左:自然と町の距離が近い尾道の路地。 心に沁みます。 右:坂と猫。 古き良き面影。(上野)

 

修学旅行以来のフェリー。今ではすっかり大人の横顔。(上野)

 

左:集合場所を決めておくのは、オトナの旅のエチケット。
中:ん?宮島に詳しい地元のガイドさんかな?
右:あの鳥居、実はこんなスケール感!
(上野)

 

左:建築に力強さと厚みを与えている「広島平和記念資料館」のつづみ型の柱。思わずタッチ。(上野)
右:広島平和記念資料館を巡りレクチャーしてくれた展示設計者 丹青社 田中利岳さん(津山)

 

秀逸な空間デザインを求めて旅した仲間たち。様々な出会いと発見に感謝!!(津山)

 

中編レポートメンバー

※50音順

その他の旅人達

奥 俊輔(ソリュート)、大西 亮(乃村工藝社)、木村 倫香(JCD)、高尾 淳(ヒューマンアーキテクツ)、田中 利岳(丹青社)、谷口真穂(圡井)、戸矢崎弘美(THワークス)、行方 瑞木(大光電機)、成富 法仁(船場)、三宅真人(16build)、村上敦(design Chill-out)

 

後編 広島平和記念資料館のインタビューにつづく…お楽しみに!